学生たちに「集中しやすい環境」を提供することは使命と語る、学校法人西野学園 前鼻理事長。
撮影場所:札幌医学技術福祉歯科専門学校 エントランス
目次
専修学校として医療・福祉の分野にステージを広げたキッカケ
まず学園ついてお聞きいたします。西野桜幼稚園から始まった西野学園ですが、調理師学校の開校から職業教育に進出されて、その後、医療や福祉分野にステージを広げられましたが、そのキッカケを教えていただけますか。
調理師学校を開校した昭和50年代というのは、高度経済成長期から安定成長期へ経済社会が変化していった時代でした。そして、学園の経営基盤の強化という課題もありましたし、将来到来する高齢社会を担う医療従事者の数は決して十分とは言えないという状況もありましたので医療従事者を輩出することが社会貢献になると考えました。
当時は北海道内でも医療系の専修学校は、ほとんどなかったと記憶していますが、そういったなかで、臨床検査技師を養成する「札幌医学技術専門学校」を皮切りに医療分野へ進出するキッカケになったと言えると思います。
撮影場所:札幌医学技術福祉歯科専門学校 カフェテリア
医療福祉系専修学校が担う高齢社会
現在、医療と福祉の専門職種を養成する4校の専門学校とそれに付帯する3つの教育事業、幼児教育を担う2園の幼稚園と2箇所の学童保育施設を運営されていますが、近年、日本の社会が抱えている課題「高齢社会」についてはどうお考えでいらっしゃいますか。
令和7年(2025年)は、団塊の世代*¹の約7割が後期高齢者*²となると言われているなかで、私どもの姉妹法人では受け皿とも言える介護老人保健施設を運営していますが、第2次ベビーブーム世代、いわゆる団塊ジュニア*³ですね。その世代が後に控えていることを考えたときに受け入れ施設も重要ではありますが、それよりも重要なことは、それに従事する人材が必要になるということです。近年の少子化の影響で生産年齢人口*⁴の減少傾向が続いているなかで、我々のような人材育成を担う者たちは、できる限り多くの質の高い人材を輩出することが重要な使命と考えています。
同時に高齢社会におけるもうひとつの課題があります。それは育成・輩出した人材が就職により都市部に集中することです。札幌市以外では大学進学率が増えるに連れて過疎化が進むという現象を起こしています。そのために地方の医療施設が人材不足に陥る懸念があります。我々は、学生たちにはできる限りの「Iターン」に対する働きかけをおこなっており、実績も積み重ねています。しかしながら、本質的な解決には至っていないのが現状です。
とは言え、今後も継続し、地方の人材不足防止に寄与していきたいと考えています。
*¹団塊の世代
昭和22年(1947年)から昭和24年(1949年)に生まれた世代。令和3年(2021年)10月の推計では598万人余りとされている。
*²後期高齢者
75歳以上の人。一般的に高齢者は65歳以上とされ、65歳以上75歳未満の人は前期高齢者とされる。
*³団塊ジュニア
昭和46年(1971年)から昭和49年(1974年)に生まれた世代。
*⁴生産年齢人口
生産活動の中心にいる人口層のこと。15歳以上65歳未満の人口。
撮影場所:札幌医学技術福祉歯科専門学校 カフェテリア
情報発信を重視したホームページ
ホームページを拝見させていただきました。非常に充実した内容で、しかも見やすく、わかりやすく整理されている印象ですが、情報発信については重要視されていますか。
ホームページは非常に重要視しています。と言いますのも、十数年前くらいでしょうか、インターネットの普及率が上がり、企業のホームページも注目されるようになってきた時期だったと記憶していますが、その頃から当学園への資料請求の仕方に変化が起き始めます。今まで、ハガキや電話・ファクスがほとんどだったところ、ホームページという手段への移行が顕著に表れ始めました。それをキッカケに是非多くの人に見てもらおうとデザインの見直しを図ることになりました。我が校は医療・福祉系であり、学生の大半を女性が占めていますので、自ずと見てもらう相手は女子高校生ということになります。それらを踏まえたコンセプトカラーということで、当時では見かけることのなかったパステルトーンを採用しました。
今では良く見かけるコンセプトカラーとなっていますが、当学園がその先駆けだったと自負していますし、その結果、ホームページ経由の資料請求は全体の8割を超えています。
学校法人西野学園 ホームページ
学校法人西野学園 公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/user/nishinogakuen
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撮影場所:札幌医学技術福祉歯科専門学校 カフェテリア
子供たちの未来のために
学園のホームページの関連サイトのなかに、子供向けロボットプログラミング教室「プログラボ」がございますが、こちらの取り組みについて教えていただけますか。
「プログラボ」は幼稚園の年長から中学生までを対象にしたSTEAM(スティーム)教育*⁵で「ロボットを組み立てる」「プログラミングをして動かす」ことを「チーム」でおこなう教室となっています。
プログラボには「子供たちの未来のため」への想いがあります。それは10年ほど前から世界は「VUCA(ブーカ)*⁶」の時代と言われています。「将来の予測が困難な世の中」という意味として使われていますが、現在に至っても、自然災害、コロナウイルスの流行など世界ではさまざまな事が起こっています。
まさに教育現場でもそうで、あらゆる変化が以前にも増して速いスピードで起こり始めています。
AI技術が進歩してきているとは言え、未だ誰もが経験したことのない課題を解決することが出来るのは「人」だけだと考えています。
今までの学習体系は「答え」がある問題を「どの公式」を使って「解くか」というのが主流としていましたが、VUCA(ブーカ)の時代では、予期せぬ問題、不解な課題でも解決する能力、かつチームで多様な考え方を交えながら解決する能力が必要となってきます。
その育成にはプログラボの「課題を解決するために"自分たちの作りたいもの"を考えて作り上げるという活動」が非常にマッチしているとともに、幼稚園でも実践している「モンテッソーリ教育*⁷」にも相通じるものがあります。
ですので、子供たちが主体的に取り組む姿勢や問題解決力と問題解決ができるチーム力を育てるのが、このプログラボの本質であり「子供たちの未来のため」への想いになります。
子供向けロボットプログラミング教室「プログラボ」ホームページ
https://www.proglab.education/
*⁵STEAM(スティーム)教育
STEAM教育とは、科学(Science)技術(Technology)工学(Engineering)アート(Art)数学(Mathematics)の5つの領域を横断的に学ぶ教育
*⁶VUCA(ブーカ)
VUCA(ブーカ)とは、変動性(Volatility)不確実性(Uncertainty)複雑性(Complexity)曖昧性(Ambiguity)の頭文字をとった言葉
*⁷モンテッソーリ教育
幼児期にはぐっと吸収する時期があり、その時期はその子によって様々。子どもがその大切な時期を逃さないためにも、「やりたい」に応えられる環境が、子どもに合ったサイズで常に用意されています。「自分から」取り組み「集中して」活動することにより子どもは力を付けていきます。
引用元:西野桜幼稚園・西野第2桜幼稚園 ホームページ
https://nishino-g.ac.jp/sakura/yochien/
撮影場所:札幌リハビリテーション専門学校 エントランス
学園内緑化のキッカケ
では本題になりますが、学園内の緑化についてお聞きします。スタートは職員への「緑化運動」だったとお聞きしました。始めたキッカケを教えていただけますか。
ある大手企業のオフィスを何社か視察したことがありまして、そこではグリーンは職場の雰囲気を明るくなごやかにする目的で「緑視率」を重視されていたことやリラックスできるスペース、考えるスペースがつくられていました。働く環境を整備することが生産性向上につながるだけでなく、教職員のストレスを軽減する効果があることを知ったと同時に、必要性を感じたのがキッカケです。
そこから学園内にもグリーンを取り入れることを始めました。特に職員室を入りやすい雰囲気にしたいと思っていましたので強く緑化を勧めました。
その甲斐もあって、職員にも変化が見え始めましたので、もっと緑を増やしていきたいと思っています。
撮影場所:札幌リハビリテーション専門学校 エントランス
無機質からグリーンへ
今回は弊社から、札幌医学技術福祉歯科専門学校のエントランスとカフェテリア、札幌リハビリテーション専門学校のエントランスといった共用スペースの緑化をご提案させていただきましたが、提案内容と工事完了後の学園内はいかがでしたか。
我々は教育者の立場として、学生たちに「集中しやすい環境」を提供することも使命であると考えています。
どうしても学校という場所は無機質な環境になりがちです。しかも現代はストレスフルな社会ですので「無機質からの脱却」は重要課題として認識しています。したがって、学生たちが集う場所には「やすらぎ」は必要不可欠です。
ご提案いただいた内容は「学生の落ち着けるスペース」という点や「緑視率」への着目点も我々の考え方と合致していました。
そういう意味ではグリーンの面積は十分だったと思いますし想像通りでした。
しかも闇雲にグリーンを増やしているのではなく、とても調和の取れた空間になっています。特にカフェテリアは期待通りの雰囲気です。利用者の増加も期待したいです。
また両校のエントランスには学生たちが集まっている様子も見受けられましたので、こちらも期待通りですね。ベンチを増やしても良さそうな感じです。
お役に立てて良かったです。評価に値するお言葉もいただけて担当デザイナーも喜びます。今回は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
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今回の三好商会の空間デザインコンセプトは「結ぶ庭」。
何気なく立ち寄り、心を落ち着け、精神を開放する。
インターバルを取って、次のステップへ。
そして、新しい出会いへと進む。
人々と明るい未来を結ぶ庭。
デザインを担当した田中千佳*⁸(以下 田中)は、学園を利用する学生や職員の皆様に「潤い感・爽やかさ・やすらぎ感」を与え、心身にプラスの効果を与える空間づくりを目指したと言います。
観葉植物を増やすだけではなく、空間を総合的に見直して、快適なスペースでありながら、機能的で、美しい状態を保ちやすくご利用いただけるような工夫を施したとのこと。
*⁸田中千佳
田中 千佳 | 株式会社三好商会 (miyoshi-net.co.jp)
今回の取材を通して、そんな田中の想いが前鼻理事長と相通じるものがあったことに気づくことができました。
また、前鼻理事長の「先見の明」にも感銘を受けました。学園の運営面だけではなく、社会においても将来を見据えています。
だからこそ、学校という「無機質な環境」に対して課題を感じられ、未来に向けて「グリーン」に必要性を見い出されたのだと思います。
オフィスデザイン事業は、今回のようにオフィスにとどまることなく、あらゆる分野で空間をデザインして行きます。大きいお悩みから小さなお悩みまでご相談に応じます。どうぞ、お気軽にお問い合わせください。
撮影場所:札幌リハビリテーション専門学校 エントランス
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